「最近、親が子供のゲーム機を壊して炎上した事件があった」
「あったね」
「その際、その出来事の是非そのものは分からない」
「見てないからだね」
「実際に分かっていることは以下の2つだ」
「対応はまあ分かるとして、批判がおかしいとは?」
「つまりだね。親が気分次第で子供のゲームを壊すのは好ましいことではない、という話なら分からないこともない。ところが、【親が子供のゲーム機を壊すのは絶対ダメ】とまでいくと、ちょっと待てよと思うわけだ。子供には罰を与えねばならない場合があり、その場合に【子供のゲーム機を壊す】という方法は保護者の正当な権利として認められるだろう」
「確かに、体罰よりはマシかもね」
「それとは別に、親だって人間だという問題がある。カッとなれば、子供のゲーム機ぐらい壊してしまうこともあるだろう。それは別に奇異ではない」
「奇異では無いと言い切る理由は?」
「【子供のゲーム機を壊してえ!】と思った経験ならあるからさ」
「まさか」
「自分の子供ではないが、子供がしばらく滞在した。なので、とある珍しい場所に連れて行ったのだよ。滅多に見られないものを見せてやろうと思ってね。時間と電車賃を使ってわざわざ行ったのだ。滞在期間は長くないし、何回も来ることはできない。ところが、子供はゲームの画面に夢中で、いくら【ほらあそこに凄いものがあるよ。珍しいから見なさい】と言っても見ない」
「ゲームなんて帰ってからでも同じ画面が見られるよな」
「そうだ。本当に【このゲーム機壊してえ】と思った時だ」
「壊したの?」
「壊さないよ。自分の子供じゃないし。親の教育ポリシーも知らないしね」
「ふーん。話はそれだけ?」
「いや、ここからが本題」
「本題はなんだい?」
「では、もしも【子供のゲームを壊していい】となったら、壊したいものはあるか」
「仮定の話だね」
「そうだ。そもそも、縁もゆかりも無い他人の子供のゲーム機を壊したら、親が怒鳴り込んでくる」
「あくまで、そういう事態が無いと仮定した場合の、ifの話だね」
「そうだ」
「で、壊したいゲーム機ってある?」
「ACE COMBAT INFINITYで、勝手に回線を切られた場合に困っているのに、回線を故意に切ってはいけませんという警告文と回線切りのペナルティを科せられるのも腹が立つけどね。でも、それはゲーム機と壊したいのとはちょっと違う」
「じゃあなんだい?」
「実はさっきその事例が1つあることに気づいた」
「それはいったい?」
「ヤマト2199の島次郎のゲーム機。あれは壊していいなら壊したい。おまえ、地球が滅亡し掛かっていて、兄貴は地球を救う大航海に出て、母親は物資が欠乏している中で生活必需品を求めて駆け回っているときに、暢気にゲームしてていいのかよ、なあ2199島次郎よ」
「せめてミニヤマト作れよ、と」
「別にミニヤマト作らなくてもいいから、何か危機感の1つぐらいは示せよと」
「ひたすらゲームに没頭して現実から目を背けるなってことだね」
「まあ、子供なんてそんなもの、という割り切りはあるのかもしれないが、1974島次郎という比較対象がいる中であの態度は見劣りした」
「ダメ弟だね」
「じゃあ、兄がまともかっていというと、2199島大介もそれほどまともではなかったがな」
「でも、最も気になるのはゲーム機と」
結論 §
「では結論を」
「2199島次郎と【親が子供のゲーム機を壊すのは絶対ダメ】と言ってる奴等のゲーム機は壊した方がいいと思います」
「そりゃまた過激だ。ならば君は自分のゲーム機が親に壊されても良いと思う?」
「ゲーム機を壊せる親が生きているのは、幸せなことだぞ」
「既に親爺は死んでいるのか」